虎杖に点目くらう

「あ、五条先生と一緒に住んでる先生」
「何その長い名前……?しかも語弊があるよ?」
「……」
「何その目は!?」

 悠仁くんは常日頃( ゚д゚)としていることが多かったのに、いつの間にデフォ顔が変わったの!?やめてよ!そんな目で私を見ないで!点目!……点目!!!絶対私の供述を信じてない顔をしている。

「別に囲われてなんて無いからね」
 囲われ……? 点目。
「お金受け取ってもらえないけど、それはそもそも五条が私が出ていくのを許可してくれないんだから仕方ないし物理的に敵わないし仕方ないだけだからね」
「……」
「べ、別に餌付けなんてされてないし欲しい物買ってもらってるわけでも無いし。勝手に出てくるだけなの。私だって怖いんだよ!」
「わあ……」

 点目やめてよ。ぴえんしちゃう。必死に弁明しているのに全く心に響いてなさそうな点目が心に突き刺さる。事実を言って信じてもらえないのなら、次は如何に五条がひどいかを力説するに限るだろうかなんて考えていると、するっとお尻に大っきい手が回った。ひえっ絶対五条だ。

「今履いてるパンツだって僕がプレゼントしたやつだもんね~!」
「どこから湧いて出たの」
「僕はいつでもの背後にいるの♡」
「それなんて呪霊?」

 メ゛リーさん……? ちら♡って背中からズボンのウエストを引っ張られて、わってなった。絶対見てんでしょ。「あ~やっぱり履いてくれてる♡カワイ~♡似合ってるよ♡」その状態で似合ってるかどうかが分かるか。ていうかパンツ見ないで。やだ。べた褒め逆に気持ち悪い!思ってないでしょ絶対!絶対目凝らしてる。やめて!

「目、凝らさなくても見えるよ。黒のえっ「わーーーっ」♡」

 パンツにまで指ひっかけられてゴムぺいってやられて五条の手を後ろ手で抓る。ぎりぎり抓ってやってるのに「いたいいたい♡」っていい加減にしろ!「昔は白が好きだったんだけどさぁ、やっぱ黒のが色気あるわ。ホント堪んないね」「どうでもいいよ!もう黙って!離して!」「悠仁どっちのが好き?」「セクハラ!」「は?男同士で何がセクハラなわけ。ねえ悠仁」「私が代わりに傑に通報する」こそ何カンチガイしてんの?男同士はトイレで息子見せあう仲だよ?」「そんなことばっかり言うから悠仁くん静かになっちゃったじゃん」「それはそうね」
 悠仁~?と悠仁くんに五条が大きく手を振っている。相変わらず私を抱き締めているままであるし悠仁くんは点目のままであるが。数秒間、点目をぱちぱちした悠仁くんは△みたいな口を開いた。

「なんで付き合ってないん?」
「え」
が意地張るからに決まってんじゃん。僕のこと大好きでしょうがないのに」

 嘘つけ。生徒の前で人のパンツ見る人のこと心から好きになれない。あとその自信はどこからくるの? どうしてやめてと言っているのをやめないのに私に好かれていると思えるのか意味が分からない。そこは正直言って尊敬するレベルだが(これは皮肉である)本当に意味が分からない。

「……悠仁くん、分かった?こういうところだよ?」
「事実じゃない?」
「えっ?え?」
「ね~?ほら~!!分かってくれた~???」

 滅茶苦茶な煽り超うざい。しかし、よくよく考えてみれば悠仁くんは五条の女癖の悪さを知らないのかもしれない。恵は知りすぎている程知ってるだろう、それもそれで可哀相だけど、……もうちょっと本気で知っておいた方がいい。女子生徒のスカート履くようなおじさんだよ? 幸いそちらに恋愛感情は無さそうだけど、普通に考えてやばいし、恋愛感情があるのかどうかは知らないけど、とにかく手癖が悪い。

「……悠仁くん。あのね。五条は色んな女の人にこうでね、それも、君が想像するほど可愛いものじゃなくて、色んな女の人と責任取らなきゃいけないよねってことまでしてるの。ついでに私にひどい暴言を吐くのもセットなの」
「ひどいぼうげん…?」
「何で何も言わないわけ。まさかコレはお前にとってのフツーってこと?このクソビ「あー!」とか、ブスとか、ブスとか、なんか、色々」
「それはひどいけど」
「うん」
「でも照れ隠しじゃ?」
「えっ……」
「ゆーーーじ!」
「センセさんのこと大好きじゃん」
「そーーだけど!もっと言って!」
「授業中もさんのことばっか言うし。任務帰りはお菓子買って帰るし」

 突然の悠仁くんの激白に、( ゚д゚)になった顔が気持ちが戻って来ない。嘘だそんな。だってそれは。

「前半はいじめの結果でも報告してるの?って思うし、後半はそれ大体五条自身へのためだよ」
「でも俺先生が浮気してるとこみたことないや」

 浮気ってそもそも付き合ってないんだけど。これはひどい。
 相変わらず私の背後にぴったりくっついている五条に背中を預けて、今度は彼のお尻のポケットを漁って「いやんエッチ♡」やっぱりここじゃなかった。ズボンのポケット「きゃ♡」上着のポケット「なになに、僕をどうするつもり?ビーチクはそこじゃないよ♡」それは知ってるけど、……どこだっけ?

「五条。あれ出して。二代目のスマホ。女の子と連絡とってるやつ」
「あれ?あれ本来お前用だよ」
「ほら、私も遊ばれてる一人だよ可哀想でしょ」
「は?動画……じゃなくて連絡先見せてやろうか」
「通話履歴のがいいんじゃない?」
「キ~~!!これは怒りの五条悟。悠仁、僕可哀相でしょ。何言っても信じてもらえないの」

 五条が二代目のスマホを出したから悠仁くんをこいこいして、寄って来た悠仁くんが五条のスマホに視線を注いだあたりで、五条がご丁寧に開いた通話履歴を「アッ」って一瞬で閉じた。あまりにも自分でやばいとは思ったんだろうか? まあ、私もばっちり見たけど。昨日も二日前も誰かにかけてたのに、今日もヤるんだろうか。凄かった。

「んー。せんせが悪いと思う。どんまいさん」
「ありがとう。しかも番号登録してないところがヤバくない?上に来てるのから適当にかけるみたいな」
「そうそう。3回くらいヤると女側が焦れ始めるから連絡増えたり罵倒されたりで鬱陶しくなって着拒否したりとか。やっぱりは僕に詳しいね。そんなに僕のこと好き?」

 通話履歴はパラダイスって感じだった。いや地獄かな?こんなひどいことある?
 伏黒がこの二人を心の底から祝福できない理由がちょっとだけ分かった気がする。先生の頭がぶっ飛んでんだ。

「違うんだよ悠仁。僕が他の子と会ってるのは、が僕に構ってくれないからっていうか。分かるでしょ?好きな子には構って欲しいじゃん?」
「他の人じゃ代わりになんかならんくない?」
「だからしちゃうの。全部のせい」
「ね、やばくない?悠仁くん」
「せんせェ……」
「ほら。五条は最低だよ」
「だからお前のせいつってんだろ。それならお前も最低だけど?」
「オレサマ理論。私は登記簿謄本返すっておうちに飾ってるじゃん」
「返されてません-受け取り拒否ですー」
「しょうがくごじょう」
「お前だってケーキに釣られちゃうぐらいだからお子様だね?まああのあとはエッ「わあああ」けど♡」

 言い合ってる二人は楽しそうで、互いに遠慮がないのに、口頭以外ではちょっと気遣い合ってるところとか、両想いって感じだ。先生がさんのことを大好きなのは見てて分かるし、さんだって先生のこと大好きだと思うけど、好きって言ってもらうには、先生にやることがたくさんあると思う。伏黒の死んだ顔から察するけど、さんも気づいてないの、大概じゃん。