くっつかれる五条

「わ、わ、わ、わ」

 ……え、何。ワワっとなってる感じのがそろりと僕の腕に腕を回してくっついてきた。即座に無限の内側に入れたけど、おっぱい柔らかい。何最高なんだけど。

「なに、どしたの」

 ニヤニヤしかける頬を我慢してはいるがニヤつき全く抑えられてないだろうな。周りを見るためにきょろきょろしている彼女のつむじすら死ぬほど可愛い。の視線の先、……周りの奴らも一斉に顔を上げて互いに見合わせているので察する。なるほどね。熱烈だねって言いかけた僕が馬鹿みたいなんだけど。

「ごじょー……」

 気の抜けた声で僕の名前を呼びながらピッタリくっついているに無限を切ってやる。ふん。なるほど多少揺れている。

「や、ちょ!意地悪!」

 お前ホント昔からそういうとこあるよね。自然災害に弱いの?僕をセコム゛と勘違いしてるとこあるよね。違うんだけど?まあお前専用のセコム゛なら請け負ってもいいけどって違ぇよ。

「お前のがよっぽど意地悪だよ。地震じゃなくてもくっついていいって言ってんじゃん。僕の胸はのためにいつもあけてあるのに」
「まだ揺れてるからやだ中に入れて」
「中に入れてってなんかエロいな。いいよ悟クンの中に入れたげようね」
「イントネーションが違う気がする……」
「悟クンのを今夜オマエの中に入れてあげる♡」
「いらない……」

 離れようとするから、ぎゅううと抱きしめて無限の中に入れ、のほっぺがむぎゅと僕の胸元にくっついているのに気分が良くなった。可愛いね。建物が壊れようが地底が見えようが僕とは二人だけの世界だね♡



 ピシャーーーーン。

「っわ」「!」

 先生、と扉を開けた瞬間だった。雷が落ちたのは。

 そそ……さんが先生の方へにじり寄っていって、そっとくっついている。多少驚いたのと昔の癖で、俺も大きく足を踏み出して先生の方へ行こうとしてしまったが、別にもう雷に対処できるしくっつく必要なんかない。雷は早々落ちないし、落ちたとしても今の俺ならどうとでもなる。さんもそのはずだが、……五条先生に抱き上げられて足の間に座らせられ、首元にすりすりされているさんは腕を広げてコチラを見ている。スン。

「恵、こないの?大丈夫?怖くない?」
「平気です。いつまで俺のことガキだと思ってんですか」
「いつまでも」

 スン。勝手にやってくれ。昔から自然災害的なもんが起こると五条先生の機嫌がスーパー良いのはさん現象のおかげだ。地震雷台風豪雨、なんでもいいけど、とにかくさんはそういう時、直ぐ先生にくっつく。先生がニヤニヤしそうになるのを必死に抑えて何とも言えない顔になってんのが最高にキモい。振り返らずに部屋を出る。
 本当に、先生の口元はむにゃむにゃしていて超嬉しそうだった。さん普段からくっついててもらえねーかな。先生の機嫌がとても良くなるので。ハアー。

「行っちゃった……恵も大人になったのかな。寂しい。寂しすぎる」

 が可愛い。僕の足の間に無抵抗で座って、「鳴り止まないね」「ちゃんと手、動かして?」「すごい雨」「だめ。ここはもっとちゃんと書いて」「音も無くせない?」なんて僕の右手に命令しながら僕に語りかける。いつもそのくらい甘えてくれればいいのに。
 に隷属しているような僕の右手が、彼女の言葉に操られるように、書いて、書いて、書いて書いて書いて書いて書いて書いて書いて書く。

 右手に握っているペンが机をガンッと刺したのにふと気が付くと、書類はもう無くて、僕の胸に頭を預けてすやすや目を閉じているがいた。……寝てる。そういえば雷にバケツをひっくり返したような雨もいつの間にか行ってしまったらしい。静かなこの部屋の向こう、カーテンの隙間からは日がさしてきている。
 彼女を起こさないように、僕の右手の先にぽいぽいされている、流れ作業にしていたその紙を一枚ぺらりと取ってみる。集中はおろか、何書いたかも覚えてない報告書だ。……うわ、さすが僕最強じゃん。なんかよくわかんないけど報告書になってるわ。スゲー。僕ホント最強~天才~マジGLG~惚れるわ~。惚れろよ。
 彼女の服のポケットに手を突っ込んで菓子をもらい糖分を補給しながら、眠っているを眺める。……かわい。ホントカワイイな。安心しきっているのか、頭を手で包んで撫でても、首の裏をさすってみても起きやしない。急所だというのに。すやすやすよすよ寝ているの寝顔は健康に良い。

「……僕も昼寝しよっかな」

 フーと気を抜きながら背もたれに首まで乗せて目を瞑る。

 いやー、天気が悪いといいな。別に天気に好き嫌いとかなかったし僕には関係ないけど、のおかげかな、多少みんなと同じような感覚を持てるようになった。といっても、天気が鬼のように悪のが好き、って天邪鬼かもしれないけど。
 晴れの日だって僕といれば紫外線から守ってあげるし、雨の日は傘いらないよ。一緒にお天道様浴びながらゆっくり昼寝するのだっていいしさ、それらしく相合傘してわざわざ街を歩くのもいい。だから毎日くっついてくれないかなあ。