呪われた五条
「私のこと、好きかい?」
「すき」
「硝子は?」
「すき」
「は?」
「愛してる」
「ははははは」
「やめろ。俺で遊ぶな」
マジで厄介。
クソほど睨みつけても傑は腹抱えてヒーヒー笑ってるだけだ。
なんでどうしてこうなった――傑が取り込む前、『ア』って声だしたから何?ってなったら呪霊になんか喰らうじゃん。口に液体入ってゲッてなってつい呪霊祓っちゃうじゃん。『ごめん悟!』って血相変えて俺を構う傑に『何も異常ねえ。ヘーキ』と返した。そこまでは良かった。問題はそこからだった。『本当に大丈夫?悟』『別にヘーキ』『いや、でも……』『俺が平気つったら平気なの。お前こそさっきパンチみたいなん喰らってたじゃん。ダイジョブかよ』『ん?別に私は大丈夫だよ。悟は本当に『大丈夫だつってんだろ!愛が重いんだよ傑はさあ!』……愛が?』『ンなことより早く帰ろうぜ。の顔見て疲れ吹っ飛ばしたい』『……悟?』
『硝子、オマエ疲れてね?寝た方がいいだろ』『……誰コイツ、夏油』『悟のはずなんだが、多分…私のせいだ。実は…』
「――傑作だわ」
というワケだ。
妙な呪い。こういう微妙なやつマジでやめろ。
医務室、俺はグラサンを机の上に置き、パイプ椅子に腰を下ろして、あ゛ーと舌を出して凝視する。ハァ。無限で弾くにも自分の舌弾けって?硝子が居るから反転術式使うからオッケーだヨーンって?痛ェよ。別にほっといても実害ねーだろうし、舌に感じる見えるキモい呪力もどんどん薄まっている。原因である呪霊も祓ってるわけだし、俺は舌を吹っ飛ばさずともそのうち元に戻る。離してくれないこの二名クソ、からどうにか逃げれば問題ない。普通に今日一晩寝りゃ元に戻る。そこまで分かってて舌、吹っ飛ばしたいヤツは多分居ない。今日はもう任務もねーし。
「アホな呪いもあったもんだね。食らってる五条まじ笑」
「まぢわらやめろ。本気で呼ぶなよ」
「え?呼べってこと?」
「殺すぞ」
「殺れるもんなら殺してみれば?」
やってやろーじゃん、と立ち上がると、ガラッと扉が開いた。「しょーこー。コケちゃった。って、げ…五条…」ダッサ。膝すりむいてやんの。脚しろ。柔らかそ。「脚もっと見して」「え?」彼女をこいこい手招きながら、俺は椅子に再度腰を下ろし彼女の脚を凝視する。いいウチモモのおいしそうな隙間が、低い位置からだとかなりヨく見える。今日のおかず決定。
「飛んで火にいる夏の虫」
「えっ…?」
もっとこっち来い、と手のひらを自分に見えるように、誤解を与えない手招きを続けつつ(昔追い払われたと思ったのか逃げられたことがあるため。俺カワイソ)、彼女の脚を凝視する。はのろのろ近寄って来る。めっちゃチョロい。
「…なんでいるの。五条が。医務室なんかに。医務室なんかに」
「医務室に来なければならない事態だからだけど?大変だからだけど?」
「……何かあったの?」
いきなりがしゃがみこみ俺を覗き込んできたもんだから、視界いっぱいにの俺を心配しているような顔が映されて心臓が止まりそうになった。待って視界が脳味噌がきつい。今グラサンしてないからヤバイ。心臓に直撃するやめて。
「こっち見んな上目遣いやめろホント顔が可愛い」
「え。エ?」
ごめん耳がおかしくなっちゃったかも。もう一回言って五条、何だって?ってが手を耳に添えてズイっと一歩詰めて来たから食べてやりたくなる。伏せられている横目が可愛くて可愛い。
「なんでそんな可愛いの」
「えっ………?」
ドン引き、という表情で後退ろうとしたの肩を引っ掴む。
「おい。ここ居て。ずっと俺見てて」
「えっ……」
「ははははは」
「なに、これ。どういう、状態?五条、重症じゃないの、」
「呪い。素直になっちゃう呪いらしいよ」
「分かった…あべこべ呪いね…めんどくさい呪いだなぁ…五条が呪われちゃうなんてよっぽど強かったの?呪い」
「クソほど弱かったけど?」
「わあ…お疲れさま」
が伸ばしてきた手を振り払うことはいつものごとく出来ない。ついでに口が勝手に動く。
「もっと撫でて。俺お前に撫でられんの好き。きもちーから」
「ひー、ひ、っひぃ、はははははっ」
最悪だ。クソすぎる。顔が熱い。くくくと硝子の笑い声まで聞こえてくる。「五条、結構可愛いとこあんだ」「そうだよ、まだ手も出してないみたいだし、思ったより心が童貞なところ、あるよね」「心が童貞。ヤベーな。ソレだわ」お前ら無量空処するよ!?
「悟」
わなわなしつつもに撫でられていたが、目を開けた目の前には不機嫌そうな、チラッと目線を動かした先の傑は突然の真顔。
「やめろ傑。まじでやめて」
ゼッテエ碌なこと考えてねーヤツだ。ヤバイ。
「のこと、好きかい?」
「愛してる」
「えっ…」
「どのくらい好き?」
「宇宙爆誕させれるくらい」
「ご、ご、五条、そんなに私のこと嫌い……?」
「いや、愛してる。超好き」
「……私だって、五条のこと愛してるもん」
「え」
え。…え?
「、それは、あべこべ?ふ、ふふ、ふ、」
「うん」
あべこべ。
「あべこべ」
私も五条のこと愛してる、の、あべこべは、俺のことが死ぬほど嫌い。一緒に月、見たくないほど、嫌い。二人きりでいつまでもいつまでもお話し、してくれないくらい、嫌い。もう二度と逢ってくれないくらい、嫌い。首しめられたくないくらい、嫌い。
「…俺そんな嫌われてんの?」
「ごめんなさい調子乗りました、お願い殺さないで。焼きそばパン何個買ってきたらいい?ペブシとメロンソーダといちごミルクもつけるから。許して、許してください」
が床に膝まで付き正座して、必死に俺を見上げ手を胸元で組み願っている。
「あざとい顔やめて。勃起する」
「えっ…対義…対義語…大丈夫?その、…アレが折れる?」
「折れねえよ」
……俺そんな嫌われてんのかな。否定はされてない、…よな。ウソだろ? …俺のアタマが無量空処なんだけど。
「硝子、治してあげてね。さすがに可哀相だから」
「折れてる方が世界平和じゃん?」
「確かに。本命に使えてもないしね」
「は?殺すよ?オマエら」
「うんうん。ほら悟、の好きなところ5つ言って」
「無理そんなに無い」
「そうなの?意外だな。じゃああるだけでいいよ。のどこが好きなの?」
「存在。すべて」
「わあ。すっごい嫌われてるね私」
目をパチクリしてウンウン頷いてるに堪忍袋の緒が切れた。なんでこの女クソほど気づかないわけ?マジでいい加減にしろよ。
「ハァア~~素直になっちゃうつってんだろ分かれよ!!!頭悪くない!?」
「うんうん。ごめんね五条。焼きそばパン買うから許してね本気で」
「ムリ許さねー。お前ら覚えてろよ。今度硝子以外半殺しにすっから」
「え?…こわ。よくわかんないけどこわい。もういいや、帰ろ……」
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