支える五条

「悟ってさ」

 と硝子がキャッキャウフフと出てった教室、傑が机を俺の方へ向け、椅子もそうして座りながら、至極真面目な、真面目すぎる真顔で俺の眼を真っ直ぐ見て重々しく口を開いた。

「なに、傑。改まってどしたの」

 思わず目をパチクリしちまいながら、俺も傑の方へ机と椅子を向けた。作戦会議するみてえ。
 勿体ぶんなよ。傑はたっぷりと間を置いて、言葉を続けた。

「悟ってさ。無限の計算してるよな?」
「うん」
「つまりさ。スリーサイズが寸分違わず測定できて、体重から女性の胸の重さまで分かる、ってことだよね」
「は」

 は。

「天才か?」
「だろう?」

 ガタッ!とスタンディングオベーション並みにスタンディングした俺は一目散に教室を駆け出した。後ろで椅子がガッタァンと凄い音を立てて勢いよくコケてる音を遠くに聞きながら無我夢中で走る。マジで何で今まで気付かなかったんだろ!
 居た、!っしめた!硝子いねえ!

「っ?!?!」

 えっかる。何か、えっ?え?これは胸?胸が軽く?えっ。なに。セルフブラジャー?胸が無重力になってる?えっ何これ。えっ。きもちわるい、なんで私の胸だけ無重力になってるの?は?え?は?

「みかん71グラム柿140グラムりんご240グラム、グレープフルーツはねーな…」
「なんの呪文!?五条!?やっぱり五条だよね!?何掌印結んでんの!?」
「わ」カップでしょー……、まあいいけど?俺には分かるし?」

 五条はグラサンを頭の上にあげていて、私の胸元を射抜かんばかりに凝視している。やだ怖い。やだ。変態。五条、五条?

「右乳上げて、左乳下げる。垂れ乳ー」
 胸が無限で妙な感じに動かされている。五条がケラケラ笑いながら私の胸の下で無限を操作している、んだと思う。こんなの絶対おかしいよ。とある呪力のムゲンラレータだったの?意味わかんない。これ五条、五条に色々バレてるんじゃないの、感触は分かんないのかな?無限って対象の感触分かっちゃう?それは無いような気もするけどでも概念は分かるんじゃ?胸の概念?概念って何?グラム?カップ?センチ?やだ怖い!
「垂れてないよ!ねぇ!やめて!妙なことするのやめて!」
「楽でいーでしょ?」
「お願いやめて」

 胸元を抱き締めて縮こまっても無駄である。俺様何様悟様、こんなやりたい放題が許されるの?信じられない。五条きらい。

「しばらく俺がお前のおっぱい支えててあげる」

 いらない!ウインクすんな!逃げるが勝ち!

 はあ。やべえ。俺の脳内の計算式には絶えずの胸の質量が計算されてる。勿論の動きに合わせて感覚でさばいてるけど、そうじゃない。最高。

「走ると結構動くんだね、胸って」
「やだや、やだぁ、」
 走って逃げ始めたとの距離を無限で縮め、涙目のの前に先回りした俺は、彼女を壁に縫い付けた。必死におっぱい守ってるけど、トップにアンダー、ウエスト、ヒップ、首手首足首に、左手の薬指。体重。睫毛のセンチ。あらゆるの数学的概念、何から何まで筒抜け。全部この最強な脳味噌にすべて記憶した。今の俺、お前のラブドール作れるわ。
「ねぇ、今度オーダーメイドの服作ってやろっか。エッチな下着はやっぱ黒?白も捨てがたいよな…いっそ両方作るか。シルクでいいよね」
「いらない、し、それ服じゃなくて下着じゃない?」
「他に好きな色ある?」
「え、あ、えっとね、青」
「へえ。青」

 持ち前の碧眼での眼を覗いてやった。分かりやすくドギマギ顔赤くしてやんの。お前結構俺の顔好きだよね。

「…なんでにやにやしてるの」
「なーにも?はい計測終わりね。今度服贈るからさ、それ着てデートしてよ」
「えっ……」

 この世の終わりみたいな顔すんな。