彼制服に悶える五条

 グォングォン、ボロ洗濯機だか乾燥機だかが回る音がしている。
 俺は、が俺の部屋に来ているシチュにちょいドキドキしちまいながら、気を紛らわせるためにゲームをしている。
 が上がってきたらナニしよう。いや何しよう。勉強、セックス、いやいや、そんなに親しくない。無難にスマフラが妥当だ。傑にヘルプメールは送ってあるから、任務が終わったらココに直帰してくれるハズ。
 あと数時間、あと数時間耐えればいい。俺のデカいベッドがあって、そこにかけてある制服のズボンのポケットにゴム入ってて、がシャワーから上がって来る状態で?耐える?耐え?ガチャリとドアが開く音がした。
 ドッドッと激しく動いている心臓を精一杯スルーして俺は一心不乱にスマフラCPUをハメ技でハメ続ける。ハメ、いや、ハメ、ハ、いや。声かけられたら振り向こう。そうじゃないと不自然だよな。そうしたら不自然じゃないはず。あ、息吸う音が聞こえた。振り向く準備、ポーズポーズ、

「五条、ごめん。ありがと」

 ん、と振り向いた結果、俺は開いた口が塞がらなくなった。彼女が白いナマアシを惜しげもなく晒して立っていたからだ。視界情報が俺を殺しに来てる。

「は…」

 ヤバすぎる。何でこうなったんだっけ?マジで。
 数十分前、女子寮が大掃除の日なの忘れてた、って涙目で任務帰りに濡れちゃったの、お風呂貸して欲しいです1000円で、と、あんまりにもびしょ濡れだったが俺を頼って来たんだ。部屋に入れた自分を、殺したい。し、何故、俺は、自分の制服を貸した? …シャツより暖けーだろ、と思ったんだよ。そんなん、暖房点ければ、解決じゃん。そんなことよりもっと危惧するべきこと、あっただろ。
 それで、何で、は下、履いてないわけ。俺、貸したよね。手に持ってるそれ、俺のズボンだろ?

「…お前、ズボン、は」
「え?ああ、えーと、ちょっと長すぎっぽくて。上の丈も足りてるし……」
「馬鹿じゃねぇの?脚見せんな、セクハラだろ」
「え、ごめん。でも裾、踏んで汚すだろうし、やめた方がいいと思うよ」
「いいから履けよ。お前今ノーパンだよな?足開いたら見えんじゃん」
「……開かなきゃいいんじゃん」
「いや、お前、ムリだろ。別にそのズボン一枚くらいどうなったっていいから早く履いて来い」
「…座らなきゃいけるよ」
「いや、俺が無理」
「…私だって、その。直接履くってことだよ?嫌だよ。ちょっとつらいよ。五条だってつらくなるよ…」
「……そのまま着て帰れば。やるよその制服」
「ダメ。あとが怖すぎる。弁償するにも五条、多分これ、特注サイズだよね?お金が足りない…」
「いらねーよ」
「やだ。とにかく座らなきゃいけるよ。大丈夫。乗り越えられる」
「無理に決まってんだろ。俺が座ってお前見上げたらゼッテエ見える」
「は?見ないでよ」
「誰が見るかよ」
「要は私が座ってればいいんだよね?」
「まあそういう事だけど?俺がお前のノーパンになんか興味あるわけねーし?正座でもしてろ。俺に迷惑かけんなよ」

 いやそういう事じゃなくね?興味ありありなんだけど?あと普通にズボン履けばよくね? それなのに彼女は素直に腰を下ろして正座した。脚の肉感に脳を揺さぶられる。「ちょっと短い…」ダメダメダメ。ダメなやつ。目が離せねえ。後ろから見たら尻の割れ目まで見えてそうだし横から尻の肉が溢れてる有罪。いや、待ってムリ。
 俺はなんとか下半身を抑え込みながら中腰でに声をかける。

「待て待て待って、正座キワどい、やっぱやめて」

「女の子座りもやめろ膝からの隙間がやばい」

「横座りもやめろ。脚の間に手、置いたって魅惑の内腿には変わりないから」

 困惑した顔で俺を見上げるの襟元、には、鎖骨が。鎖骨がバッチリ見えてて、俺も眉を寄せる羽目になった。傑のカスタマイズ真似て良かった。最高すぎんだろ。骨と、肉。筋。エロい。光が当たった肌は、増してエロい。部屋は、いい感じに、明るい。やめろ。勃起する。

「しかも何、襟元ガバガバすぎ。鎖骨見せてくんのやめてくんない?露出狂なの?痴女乙すぎ」

 羽織ってるつか着られてるっつか、無理でしょ。何。やばい。そして中身はノーパン、ノーブラ。すっぽんぽん。ハッ、乳首の主張が見えるんじゃね?え、六眼の出番?出番じゃない? は襟を正そうとしたのか手を持ち上げてるけど、袖もこれまたブカブカだ。その体制じゃ丁度腕が邪魔で見えねーだろクソ、動いたり仰け反ったりしてくんねーかな。

「…ごめん、五条。とりあえず袖折り返してもいい?」
「俺がそんなこと気にすると思ってんの?好きなだけ折り返せば?」
「なんでキレ気味なの?こわ…」

 が前屈みになって、指先ひとつ出ていなかった袖を丁寧に折っていく。俺はギンギンに目を見開き胸元を凝視し、乳首を探し続ける。柔らかそうな胸のふくらみに、クソみてぇなポリエステル生地、けど今日は仕事をしてる。生地の光沢が仕事をしていて、やばい。ゼッテーあのヘンにあんのに、……落ち着け、俺。別に女の乳首なんか見飽きてるだろ。いやの乳首は見たことない、見たい。見たいじゃん。見たい。俺の脳内の記憶他の女の乳首200個以上と引き換えでいいからの乳首が見たい。見して。――分かったからとにかく落ち着け。落ち着かなければ見えるものも見えない。焦りは禁物だ。必ず見える時がやって来る。その一瞬を逃さなきゃいいだけ。精神統一。

 俺は目を閉じて唾を飲み込み息を吐いた。ふー。よし。少し落ち着いた気持ちで目を開く。…は既に袖を折り終えていた。けど、微妙にしか折り返しておらず、それで満足したのか、指先だけで胸元の布を寄せていた。
 その指先だけ見えてんのは、クソ、あざとい。絶対分かってねぇ。男はみんなチラリズムが好きなんだよ。ふわふわ揺れてる髪とかゆらゆら揺れてる耳飾りとか風にチラッとしちゃうパンツとか。脚のヤラしい隙間とか見えそうで見えないソコとか袖から見えてる指先とかオマエが仰け反れば絶対分かる乳首とか。動悸が、くっそ、駄目だ、悟くんのサトルクンの反応を押さえられそうにない。

「萌え袖やめろ。もっと折り返して」
「でも皺寄っちゃうし広がっちゃうから…」
「どうでもいいからそんなん」

 とりあえず俺が折り返してやって、そうして屈んでる間に下半身、諫めよ。このままじゃトイレにすら行けねえ、割とマジで絶対バレる。
 そう思って傍に近寄って、の横に膝ついたけど、俺と同じシャンプーの匂いがの頭からして来てしんどくなるだけだった。まさに死。が着られてる俺の制服からは、当たり前に自分の洗剤の匂いがして、そんな俺の制服を着て、俺と同じシャンプーやら石鹸やらの匂いを、身に纏っている、
 死にそう。心臓が暴走してんだけど。俺今日心不全で死ぬんじゃね? これは駄目だ、悪化するだけだ。サクッと終わらしてトイレ行った方が早い。
 俺はあからさまに顔を逸らしてパパっと袖を折り返してやった。

「わーい、手が出たー」

 手をパーにしてニッコリ俺に礼を言うは、可愛い。可愛いしか無い。死しか無い。その同じ視界情報に首筋鎖骨胸元に生白い脚が惜しげもなく晒されてんのがマジヤバイ。ギャップ。可愛らしいのに艶めかしい。そして、その中身は。ノーブラ、ノーパン。素肌に、俺の制服、一枚。
 落ち着け、五条悟。サトルんだ。素数を数えるか?経を唱えるか?どっちの方が冷静になれる?考えろ。

「五条の匂いするー」

 は何を気にしている風でもなく、襟元を掴み上げて、頬まで覆うようにして顔を埋めている。マジでやめろ。可愛いだろ。息がしにくい。多分まともに息したらフル勃起する。目、閉じてすんすん嗅ぐのもマジでやめて、恥ずかしくなってくるから。

「嗅ぐなよ気持ち悪いな。もう分かった俺が座るからお前は立ってて」
「だからそれ、見えるんじゃないの?」
「そうだった」

 落ち着け。落ち着きたい、けど、が横座りしてた足先を動かし、布が少し、捲れ上がっ、た。せめて足をむける向きを逆にしろよ。なんで俺が居る方に布少ないようにして座ってんの? マジで、もう、あの領域は、あの肉は、尻の肉。触りたい。揉みたい。ひっぱたきたい。バックでブチ犯しながら赤い手形つくくらいイイ感じにパンパン叩いて泣かせたい。
 助けて傑。早く来て傑。もう無理、俺、襲っちゃいそう。こんな自分がありえない。を襲うとか、何考えてんの。こんな色気もクソもねぇ、ちんちくりん、いや、顔は可愛い、色気は認めたくないけど今誘惑されてる、ちんちくりんっていうより俺の身長が多分高すぎ。襲いたい、俺の遺伝子ぶち込みたい、“女”が目の前にいる。

「…ちょっと冷えてきたかも」
「温めて欲しい?」
「え、いいよ、勿体ないから」
「いや一人で抜く方が勿体なくない?」
「え、……。何の話?」
「セッ「わあ」だけど。温めるってそれしかなくない?バカなの?」
「えっ、暖房…」
「は、つけねぇよ」
「う、うん…」

 煽ってんのか? は困惑した顔でぱちぱち目を瞬いて俺を見ながら、肩を丸め、両手で股の布を押さえるように掴んでいる。俺の理性は崩壊寸前だ。ていうか崩壊する。もじもじしてるようにしか見えない。上目遣いで俺を見つめてんの、分かってる?真っ直ぐ見つめられると、オトコは直ぐオちちゃうんだよ?分かってないだろ。分かってなくてもやった時点で有罪なの。
 これ、手、出していいでしょ。待ってんだろ?期待してんだろ?この俺に犯されんの。

「ねぇ、犯していい?」
「え、無理。五条って女なら誰でもいいんだね…逆に凄いね…普通に引くけど…」
「違うんだけど?お前こそ男の部屋に上がる時点で襲ってくださいつってるようなもんだよ?襲われても仕方ねーことしてんだぞ。わざわざ聞いてやった俺、超優しいんだけど。据え膳だろ?食っていいやつでしょ?食われたいんだろ?」

 彼女を抱っこしてベッドに放り投げた。「ぎゃっ!――あ!」上に跨ろうとベッドに片足をかけたところでが上半身を起き上がらせてキラキラした目で言った。

「ねえ!このタオルケットもらっていい?」
「早く言えよクソ女」
「こわ…」

 もう一枚足元に寄ってたタオルケットを乱暴にに投げつける。「わぶっ」頭からそれを被ったが、腕を上にあげてタオルケットを回収した。あ。見。えた。見えた。下半身はタオルケットで隠れてるけど、上が。立ってる。エロ。やっぱ駄目、さっき一瞬萎えたけど無理、トイレ行こ。

 リビングを出ると、丁度目の前で玄関のドアが開いた。遅せーよ。けどまぁ良かった、これで第二ラウンドは避けれんな。

「悟ー、呼ばれて飛び出てジャジャジャ……どうしたんだい、そのテント」
「察して。ゼッテー襲うなよ。襲ったら殺す」

 傑の足元の小さいの靴を指さして、それから後ろを親指で指す。

「いや悟が襲えよ。私帰ろうか?」
「いや居て。このままだと俺何するか分かんない」
「いやだからシないの?珍しく弱気だね、悟」
「うるせーな。シたくねーだけ。ほっとけ」

 世話の焼ける、と傑が靴を脱ぐ。
 うるせぇな。犯して快楽堕ちさせる自信はあるけど、それまでにガチ泣きされることも分かるし、そのあとゼッテー嫌われることも分かる。既に嫌われてる気はするからアレかもしんないけど。あとガチ泣きはさせたいけど。そのあと振り向かせる自信、無いし、に心の底から嫌われたら日本滅ぼしちゃうかもしんない。そうだな、だからこれは俺が弱気だからとか、意気地がないからとかじゃない。

「傑。これは世界のためであって、断じて俺が弱気だから、とかそういうワケじゃない」
「そういうことにしておいてあげようね」
「は?表出ろ」
「どうでもいいから早く抜いてこいよ」
「…行ってくる」