看病する五条
寮、の部屋。風邪でギブってるって聞いたから、からかってやろうと思った。ガチャ、ギッ。ギギギギィ。ドアノブが鳴いてる。鍵がかかっている。瞬間移動して入った。殺風景な部屋。の匂いはするけど。
「うわ、マジで具合悪そうじゃん」
ベッドの上で死んでいるの額に手を当てたら、ばっと彼女が目を見開いた。目まっる。反応おっそ。俺が呪霊なら既に殺されてるぞ、お前。もうちょい気を付けろよ。
「ご?…ごじょう?」
「俺だけど。お前マジでギブってんの」
「び、っくりした……」
はあ、とが体を弛緩させて再度ベッドに預けた。俺の手にはの体温が移り始めてる。熱すぎ。買ってきてやりゃ良かったかな、冷えピタ。しかし俺はコンビニ袋からアイスを取り出した。喜べ。
「これ食おうぜ」
「……病人にアイス買ってくる!?」
「ハアゲンダッツ」
「たべ、た、食べたいけど、けど寒いもん…」
「あっためてあげよっか」
「は?」
残念な顔してんな。認めたくないけど超好みドストレートなの顔がウジ虫でも見るような目で俺を眺めている。やめろ興奮すんだろ。決してそういう趣味なわけではないが何かに目覚めようと思えばいけそうな気がする程だ。
「きもちわる…どうしたの五条、五条こそ熱あるんじゃないの?体温計貸そうか?大丈夫五条ちゃん?」
「うっざテメエが測れよ」
が差し出してきた体温計を彼女の口に突っ込んだ。間近での顔をまじまじと眺めてみると、抗議するような彼女の目は今日はちょい潤んでて、ちょっとばかしゼーハーしている息も新鮮だ。何より真っ赤なほっぺで俺を見上げているのはかなりクるものがある。けど俺が手に持ってる体温計はグングン表示温度を上げていく。
「うわヤバ。9度超えてんじゃん」
「ん、だからしんどいっていってるでしょ、あっちいって。鍵かけてるんだからそもそも入ってこないで、変態」
「ハアゲンダッツで見舞いに来てやったんだろ。ま俺が全部食うけど」
「人でなし、ろくでなし、クソ五条…!!!」
ミニカップ、ぱかっとぺらっと開けて思わず舌なめずり。結局やっぱハアゲンダッツってうめーんだよな、何より手軽にコンビニで買えるのがポイント高い。任務帰りにさくっと買える。
カップをちょい押し広げてみると、いい具合に溶けてきてる。食べごろだ。端からスプーンで掬って舐め食べる。悪くない。今日も変わらぬクオリティ。
を見ると物欲しそうに俺を睨んでいたから恵んでやる。半開きのその口に突っ込んでやった。は黙って俺が食ったスプーンからハアゲンダッツを口の中に受け取った。よりにもよってアイスなんだけど。俺ばっちりスプーン舐めたけど。ちょっとは意識したほうがよくない?
「あ」
「…ん」
口を開けた彼女の口にまたハアゲンダッツをあげた。餌付けかな?
何回か繰り返してやったのに、口を開けては俺にハアゲンを貰う、要は静かに餌付けを待って甘んじているの図が出来ていた。はっきり言ってとんでもなく異常だ、高熱はダテじゃないらしい。野次罵倒暴言が返ってこない。これはこれで寂しい。
そうかこれが寂しさだ。いつも通り元気でいてもらわないと困る。どう接したらいいのか益々分かんないだろ。
「なあ、早く治せよ」
「えっ。幻聴かな?――痛い!」
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