五条の歩幅がでかすぎる

「オイ。俺怒ってんだよね。なんで怒ってるか分かるよな?」
「え゛っ。全く心当たりがないから傑呼んでいい?」
「ふざけてんの?オマエさぁ、大事なこと言わねーよな」
「え゛。ますます心当たりがないから、五条のことを何でも知ってる傑呼んでいい?」
「嫌だつってんだろ。つかいつから傑呼びなの?おかしくね?」
「ヒエッ申し訳ないです殺さないでください」
「うっざ。命乞いしろつってねーんだけど」

 だって命乞いせざるを得ないくらい呪力びりびりじゃん。怖いよ五条どうしたの。何でそんな不機嫌なの?どうしたの?よく分かんないから逃げるが勝ち。

「じゃあそういうことで……」
「俺怒ってるつったよな?」
「こわ……」

 な、何でそんなに怒ってるの?見るからに不機嫌。呪力が痛い。え、大人げなくない?私と比べたら失礼な程強い自覚ある癖に大人げなくない?
 五条にそんなこと求めるだけ無駄だった…。五条相手に深く考えても無駄。何がどうなってもコテンパンにされるのだからハートを凍らせて単刀直入に突っ込んだ方が傷は浅い。少なくとも嬲られる前に一思いに殺してもらえる筈。やだ死にたくない五条こわいつらい。

「…五条。何で怒ってるの」

 無視。

「冷蔵庫にあった五条のプリン食べたの私じゃないよ、傑だよ」
「ケーキも傑だよ」
「私、アメ一つでさえ食べてないよ」

 違うらしい。無視。

「五条」
「ねえ五条」
「無視とか赤ちゃんなの?」
「名前」
「名前ぇ?」
「名前」
「悟?」
「何」

 赤ちゃんかよ。

「…悟。何で怒ってるの」
「…歩く速度。速すぎてがついてこれてないって。気遣ってやれって傑に言われた。言えよ。分かんねーじゃん」
「えっ傑は分かってくれたかな…」

 やばい。滅茶苦茶お拗ね申し上げてらしたところを、更に加速させた、プラス、こめかみに怒りマークまでつけたと思う。圧が上がった。息、しにく。死ねそう。下手な呪霊祓うより泣きそう。

「それだよそれ。みんなが傑みたいに分かってくれるわけねーだろ。悪いのはこの口か?頭か?一発イっとくか?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!大丈夫、大変なだけでそこまで困ってないから!困ってたら言うから!ごめん!」
「何が困ったら言うんだよ大変なんだろ困ってんだろソレ。あとオマエ、ビミョーに俺の事子ども扱いしてるよな?やめてくんない?なんのつもりなの?俺のがお前より強いんだけど?」
「強いの分かってて呪力びりびりさせてくるのは赤ちゃんでしょ――アイッタタタタタァやめて!」

 五条にヘッドロックをされてこめかみをぐりぐり拳でやられている。つらい。頭がぐわんぐわんする。クソデカい五条の胸が硬くて二重苦だ。挟まれている。ぐりぐりごりごり。いたいいたいムリムリギブギブ助けて誰か!

「…言わなきゃ分かんねーヤツ、ヤダ?」
「え?っ何?」
「うるせえ黙れ」
「はぁ!?」

 拳が止まって何か言われたから顔を上げたのに、耳栓でもしてんのかな~と五条は更にお怒りになられてしまった。グラサン越しにも関わらず、完全に怒りが伝わってくる。つらい。どうやったら逃れられるのか私は知らない。五条、私はその歩幅についていけないから置いて行ってくれていいんだよ。誰か助けて。