確かめる釘崎

「二人とも。ちょっと聞いてくんない?」
「いつにも増してキモイんだけど」
「…大丈夫か虎杖。熱平気か?涙目もやめてくれるとありがたい」
「~~っお前らうるせぇ!!いいから聞いて!!お願いだから聞いて!!こないだ!!こないだ――!!!」

 先生の部屋行ったらさんが先生に抱きしめられてて、そ、その…。…そ、その

「分かった虎杖やめろ言わなくていい」
「二人っていつもあんな!?」
「俺に聞くな」
「伏黒にしかこんなこと聞けねえ。あれから先生の部屋行く度緊張しちゃうし…。…何してたのかな。やっぱそういうことだよな……?」
「や~~~め~~~ろ~~~虎杖!!!キモい!!!」

 ギャーギャーギャーギャー虎杖と釘崎が発狂している。向こうからぬっと歩いて来ているのは。ゲ。ゲ、

「やあ一年ズ。何やら楽しそうな話だね。私も混ぜてくれるかい?」
「ッゲ、トウ、先生……」

 夏油先生は、提案するように見せかけて、全くこちらにあらゆる権限や選択肢を与えないタイプだ。夏油先生は既に椅子を引いて反対に向けてから座って、背もたれにいつものにやにや顔を乗せていた。

「いや、その。…あ!夏油先生、五条先生と仲良いですよね!?」
「ああ。たった一人の、唯一無二の親友だ」
「それなら!教えて下さい。五条先生とさんって付き合ってますよね!?」
「どうして?」俺には分かる。この人絶対笑い堪えてる。
「こないだ五条先生が、その、準備室でさんのふ、服を、その。…その。慌てて出たんですけど、そしたら即、鍵が中からガチャってかかったし、……ダメだこれ以上は俺には言えねえ!!」
「何したか聞きたいんだろうけど答え出てんでしょマジで頭沸いてんのか?」
「そう、釘崎ちゃんその通り。何したってナニシた以外にあるかい?」
「……!!!うわあああ~~!」

 虎杖が死んだ。
 俺だって、なんか、身内みてーな、そういう人のそういう話っていまいち聞きたくねーよ。呪力で耳塞ぐことって出来ねーのかな。今度特訓してみるか。

「…本当に付き合ってないんですか?あの二人」
「悟がガキすぎるからなぁ」
「笑顔で言うことか?性格悪…」
「大人になるとこうなっちゃうんだ」
「ゴジョセンの部屋に飾ってある制服のツーショと全く表情筋変わってませんけど?」
「そんなに詳しく覚えてくれてるの?嬉しいな。もしかして俺のファン?」
「うっざ」

 HAHAHAと笑う夏油先生は割と意地悪だ。五条先生はさんに対してだけとんでもないところがあるが、基本的にバカ素直なところは信頼はできる。夏油先生はおそらくだが絶対腹黒い。

「何で付き合わないんだろ。さんも先生のこと嫌いじゃないように見えるのに」

 釘崎が真面目に考えているが、割とマジで何を考えても無駄だぞ。五条先生は言わずもがな、だが、実はさんもさんで流されやすいところがあるのも問題だし。まあ少なくとも夏油先生は俺らでどう遊ぶかしか多分考えてない。

「そろそろ悟が出張から帰ってくるはずだから、の周りでも張ってみなよ。ついでに悠仁にでもに告白させてみたら。あの二人が本当に付き合っていないのかどうか分かるかもしれないね。今度悟の反応教えて」
「…癪だけど、やってやろうじゃないの。行くわよ虎杖伏黒」
「何でお前が決めるんだ」
「アンタたちが私の下僕だからに決まってんでしょ」
「俺って下僕だったの…?」

 …女は勝手で困る。



 あのあと、頑張ってね~とゆる~く手を振った夏油先生に見送られながら、俺と虎杖は釘崎に連行された。残念なことに呆気なくさんは見つかり、背中に釘崎の拳が当てられている虎杖が、ガクブルしながら口を開こうとしているところだ。可哀相だ。

、さん。…俺、実はその。さんのことが…、トッテモスキデス!ツ、ツキアッテクダサイ!」
「棒読みすぎんだろ殴るぞ」
「なに、なに、なんの罰ゲーム。赤くなっちゃって虎杖くん可愛い~!」

 あっははは。豪快に笑いながらさんが俺らの横を通り過ぎてカドを曲がって行った。向こうからやってきているバカデカい呪力、は……。

 帰ろ。虎杖と釘崎は我先にと、…カドに隠れているつもりなのか、コッソリ二人を観察するようだ。またな、虎杖、釘崎。金輪際俺を巻き込むのだけはやめてくれ。


 なんかごちゃごちゃ言ってやがる。聞こえない!


 いきなりゴジョセンが背中を丸めたと思ったら、さんがポケットを漁りプラスチックがクシャクシャする音がして、五条先生が黙った。

「虎杖、耳いい方?私サマンサしか聞こえなかった」
「残念ながら俺も。ちょっと距離が遠い。滅茶苦茶頑張ってるけど無理。先生今何してんだ?」
「多分菓子食ってる。さんがポケット漁って渡した」
「よく見えんな…」

 さんの頭の上に見えるゴジョセンは何か食ってる。さんが甘いモンか何か餌付けしたんだろうけど、……いつも持ち歩いてるってこと?


 何だあれ。ふざけてんだろ。一歩後退ったさんをゴジョセンが腕を伸ばして瞬時に掻き抱いた。一方的に滅茶苦茶ぎゅうぎゅう抱きしめてるのが分かってしまう。完ッッッ全に二人の世界じゃん。あんな情熱的なハグなんかのドラマくらいでしか見たことねーよ。現実に存在すんの?やべー。しかも遠目でよく見えないけどさん耳赤くね?うわ。さんが上向いた。五条先生はずっと下向いてる。見んとこ。

「マジやべえな…」

 顔を引っ込めて感想を呟いたのに、虎杖の同意がない。屍のようだ。虎杖を見ると、…耳首全部赤くして、…フリーズしてんな。アホだなコイツ。恥ずかしいなら見んなよ。

 いつか私も超イケメンで3高揃ってる男見つけてやる。高身長。高収入。高学歴。…あれ、ゴジョセンって意外と3高じゃね?性格クソすぎて減点突っ切ってるけど。

 …まあ、アレはアレね。少なくとも虎杖より脈アリだわ。付き合ってるのかないのかはこの際どうでもいい。ずっと僕の片思いでさ~とかゴジョセン頭おかしくね。あれのどこが両想いじゃねえんだよ。

「野薔薇~!悠仁~!はあげないからね~!」
「~~っえ、…見られてたの!?!」

 返事すんのもアホくさいわ。