ゴキブリ殺す五条
「ごっごっご、ご、ごじょ、」
「どしたの」
ヤバ。前をバスタオルで隠してるだけのが大慌てで脱衣所から戻って来た。リビングの扉に背をつけて彼女は放心状態だ。
「ご、」
「うん。五条悟くんだけど?」
「ご」
「うん」
「ゴキブリ」
「え?」
え?????
の表情はハッキリと絶望している。コイツこんなにゴキブリ嫌いだったっけ? え? まさか僕のこと??? 僕のことゴキブリって言ってる説ある? さすがにそれはないか。ないよね?
彼女はタオルを前に持っている手をぎゅっと握りしめて息を吸った。
「ゴキブリ!!!」
「は」
待ってやっぱ僕のこと言ってんの??? なんでそんなに必死に僕を睨みつけてんの? 上目遣いだから可愛いけど。てか谷間見えてるけどいいの? 僕は大歓迎だけど。やっぱり僕がゴキブリなの? 世界中の僕のファンから刺されるよお前?
「ゴキブリ出た」
「そっか」違った。良かった。
「たすけて」
「お前そんなん怖いの?」
「たすけて」
は僕の目の前へツカツカやってきて、ポロリも厭わず僕の腕をグワシッと掴み、横乳を披露しながらくるりと背中を向けて歩き出した。連れられるままに付いていく。
背中ヤバ。くびれヤバ。まあるく光の当たっている尻がとてもプリッとしてる。目が離れない。お尻に片手を伸ばしてツツく。
「やっぱりイイ尻してんね」
「死んで。ゴキブリ殺して一緒に死んで」
「え? と僕で心中するの? ゴキブリ殺してからみんなで一緒に? イテテテテテ」
尻を撫でていた手を力の限りつねられたので素直に退かす。立たされたのは脱衣所の扉の前。僕の背中に両手をついて、は僕を脱衣所に押し込めようとしている。扉とオデコがゴッツンコ☆ しそうじゃんヤメテよ。この先にゴキブリいんの? それとも風呂場?
「殺せばいい?」
「ううん。殺してトイレに流すまでやって欲しい」
「りょーかい。やってあげるから、そのあと僕と一緒にお風呂入ってね」
「うん」
「そうじゃないとやってあげな…………え?」
「早く殺して」
「え?」
「一緒にお風呂入るから早く殺して!!!」
首がもげる程の勢いでを二度見した。いや五度見ぐらいしてる。なんて? え? 僕の都合のいい妄想じゃないよね?
「ねえ、え、入ってくれんの? 一緒に風呂」
「入る。入るから早く殺して!」
僕と風呂に入るのをとてつもなく嫌がる、あのが二つ返事。待ってマジで? なんかのドッキリ??? めっちゃ必死な形相じゃん。
「もちろん電気はつけたままだけど、いいの?」
「……うん」
「……出る前にヤるけど大丈夫?」
「う……うん」
「上がったあともするけどいい?」
「……うん」
渋々と泣きそうになりながら、僕の言う事全てに同意を示すはゴキブリの呪いにでもアてられたのかもしれない。どこまでお願い聞いてくれるんだろ。
「おねだりもしてくれる?」
「…………うん」
「5回戦するけどいい?」
「………………」
ぐすとが鼻をすすった。涙目だ。僕が聞いて欲しいこと言うたびにどんどんどうしようって目をうるうるさせていくのめっちゃイジメがいある。ヤバイ。
「してくんないなら殺してあげないけど」
「……じゃあもういい! 今から傑呼ぶ!」あ、怒っちゃった。
「傑今日任務出てるよ」
「~~っ五条のバカ。意地悪。嫌い!」
「ごめんって。嫌いはやめて。好きって言ってくれたら殺してあげるから。ね?」
「スキ」
「棒読みかつ即答って何?」
ま、いいけど。
泣きかけで怒ってる器用なの表情は面白い。可愛いね、と頭を撫でる。
「オマエそんなゴキブリ嫌いだったんだ」
「スゴい嫌い。滅茶苦茶嫌い。五条より嫌い」
「あーもー拗ねましたー悟くん拗ねたからゴキブリ殺してあげなーい」
「五条大好き。お願い、お風呂一緒に入るから。お願い」
「語尾にハートつけて」
「……おねがいだってばあ」
「泣きそうじゃん。仕方ないなぁ。あとでハートつけてね」
ガラッと脱衣所の扉を開ける。僕はゴキブリを0.3秒で殺した。
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