凸に付き合わされる伏黒

 バァン!と扉を開ける。その先に絶対いるだろう人に向かって!

「お疲れサマンサ~!」
「サマンサじゃねぇんだよ!さんにブスって言ったことあんのか!?」
「え?」

 釘崎~~!!!!

「何、怖、野薔薇。どうしたの…」

 やめろ釘崎!叫ぶ間もなく釘崎が絶叫してしまった。この人さんのことに関しては割とナイーブなんだからマジでやめてやれ。あとでネチネチ拗ねられんの俺か伊地知さんなんだよ、マジで、く、く、く、くっそ……。
 釘崎は俺たちの襟ぐりを掴んでいた手をポイっと放したようで、うぎぎと凄まじい形相で五条先生を指指してるのが見えるようになった。駄目だなこれ。我を忘れてる。よし、空気に徹するしかない。存在を消そう。隙を見て逃げよ。

「まぁ学生時代にちょっとね」

 …認めた。やっぱホントに言ってたんだな。夏油先生に聞いたら色んな話が飛び出てきそうだ。うるせーからこの二人には教えてやんねーけど。

「死刑。五条先生。女性にブスっていうのは死刑です」
「あの頃は僕も若かったから」
さん傷ついてましたよ!」
「えっ」
「えっ、センセなんか嬉しそうにしてない?」
「気のせい気のせい。あとここ何年か言ったことないよ」
「いや過去に一度でも言ったことあんのが問題ですよ」
「恵までひどいなぁ。も~なんで言っちゃうかな。ホラ、皆にもない?うっかり好きな子に構っちゃう時期。ってみんな今がめっちゃその時でしょ~~」
「あんたのは構うじゃなくて虐めだろ」
「わかる」
「それな」
「みんなひどい~~!!先生泣いちゃうよぉ~~!」

 んも~~。しくしく…と崩れ落ちている先生はキモイに片足を突っ込んでいる。
 そういうチャラチャラした、誠実さが足りないっつーか、そういうとこも問題の一つだと俺は思う。あと俺当時のアンタと同じくらいの年齢かもしれませんけど、そういう事しようとも思わないし発想から無いですから。やっぱアンタ異常だよ。さん関連のことに関しては先生と呼ぶのも憚れるぐらいやっぱ先生ヒドすぎ。

「マジで、さんが!芸能人もびっくりの超絶美人じゃなかったら!私は!一体!何なのよ!!?先生の整ってる顔面殴っていい!?!」
「ひー、女は怖いねぇ」
「あー、そういや、こないだ六本木連れてってもらったとき、さん声かけられてた。スカウトだって、マジヤバかった。あんときのご飯おいしかったな~」俺は先生がマスクの下で眉間を動かしたのが分かった。やべえ。俺にはわかる。やばい。逃げよ。そろり、と足を踏み出した。
「えーいいなぁ!私も行きたかった」
「釘崎任務入ってて無理だったんだよ」
「悠仁。その話、詳しく聞こうか」
「エ。いや、助けて伏黒」応援してるよ。頑張れ。俺に話を振るな。俺は逃げる。
「さ、悠仁。僕が特別レッスンしてあげるから、一から百まで言いなさい。他は解散してよーし」
「はーい!」
「二人とも俺を見捨てんの!?それでも友達かよ!!!」
「悠仁~~♥僕と二人っきりで楽しいお話しようね~♥」
「ア~~~~~~せんせ、先生!!一言、一言だけ言わして!!」
「何?聞いてあげようか」
さんは、ここ学生時代五条が教えてくれてね、おいしかったの。あ、大丈夫、値段は普通だよ。ね、皆で行かない?って言って俺を連れてってくれたんです!」
「よし。しょうがないから許す。解散!」
「イエッサー!!!」
「スカウトの件はにみっちり聞こ~」

 さん逃げて超逃げて。