慣れてる伏黒
「めぐみ~~!!」
「~~~っ、、」
帰ってきたらお決まりのタックルだ。任務で多少なりとも疲れてるのにさんは容赦がない。嬉しくないこともない。「無事に帰って来ていい子だね恵は可愛いねぇ大きくなったねえ元気でいてね私より先に死ぬんじゃないよ命かけても守るからね早く孫の顔を見せてね」ぐりぐりぐりぐり頭を撫でられる。嫌じゃないけどあんまり皆の前で普段通りに扱わないで欲しい。俺のクールキャラが崩れるんで。
「孫か~。さんは?さんが先でしょ。まだ産まないんすか?」
「相手がいない」
「え?」
ごじょうせんせい…?消え入りそうな虎杖の声。あいつの思考は今宇宙に投げ出されているだろう。それもそうなる。仕方ない。先生が普段からベタベタベタベタくっついて他の人への牽制も欠かさず、さんに好きだなんだの言ってるもんな。さんもさんで完全に拒否はしていないし。…まあ何をどう頑張っても五条先生強すぎて無駄だから無駄な労力を使うことをやめたんだろうとは思う。
さんが俺から離れて、両手を左右にイヤイヤと呆れたように首を振った。
「私はブスだしそういうのいいよ。「ブス?」もう諦めてる。恵は諦めないで。早く彼女作りなさい。その顔なら選り取り見取りだから」
釘崎が目を剥いている。呪霊が逃げ出しそうな顔だ。虎杖が俺を見る。あ。
「……いや、俺もそういうのはまだいいかな、って……」
「いい?そんなこと言ってたら学生時代は一瞬で終わるの」
ビシッ!と突き出された指には凄い力が籠っている。
「女の子には優しくしないとだめだよ。間違ってもブスとか言ったり机に虫を入れたり付き纏ったり煽ったりしたらだめ。嫌われちゃうからね」
「えぇ…」
「それする人は純粋にさんのこと嫌いじゃない?」それな。一般的にはそうだろ。そう思いてえよ。
「その通り。ね、恵。大丈夫?わかってる?女の子には優しくするんだよ」
「……五条先生そんなことしたんですか」
「あー恵知らなかったっけ…。秘密だったかも。言わないでくれると助かる。多分生徒に格好つかないとか思ってるんだと思うから…」
困ったようにさんが笑う。もうしょうがないなぁと、俺がねだったお菓子を買ってくれたときの顔と似てる。
にしても思ったより先生ひでえな。ひどすぎるだろ。そんなことやったんだあの人、大人げねぇ…って感想しか沸かねえ。
五条先生はオフでは割とマジでさんにちょっとした意地悪♪とか言いながらドを越してるだろみたいなことをしてんのを、俺は結構見て来てるので、さんの発言には信憑性しか感じない。虎杖と釘崎は言葉を失って死んでいる。まあそうなるよな。
「いや。いやいやいや。さんって、あの。五条先生の恋人じゃなかったんですか?」
「え?そんな事実は存在しないんだけど?記憶にも存在してないよ?介入する余地すらない記憶だよ?」
「えっ…っじゃあ、じゃあこないだの壁ドンからのチューはどう説明するんですか!?私見ちゃったんですよ!?」
「それはごめん。でも安心して。あれは十年以上続く私への嫌がらせが悪化したやつだから」
「うっそでしょ!?さんって爛れた大人だったんですか?!五条先生はわかるけど!!!」
「野薔薇ちゃんは純粋で可愛いね…。私は悪くないんだよ。全部五条のせい。全部五条のせい。もう十年は嫌がらせされてるよ。最近ちょっと優しくなったけど悪化はした。凄いよあの執念」
「はあああ??内縁の妻か?事実婚じゃねーの!?うっそでしょ!?」
個人的には激しく同意する。五条先生……。けど、さっきの昔話聞く限り、…いや、無理だろ。五条先生……。「ていうかブスって何!?おいしいの!?ハァ!?さんがブスなら私は何なのよ!ふざけんな!」虎杖がささっと俺の傍に寄って来て、耳打ちを始めている。めんどくせえ。俺の人生で何回目だか知らない。どうせあれマジとか言うんだろ。マジなんだよ。五条先生に言うなよ、わんわんわざとらしく泣きながら何時間も惚気られるからな。
「伏黒、あれまじ?」
「付き合ってないのはマジ」
「えっ……」
「ゴジョセン凸!!行こ二人とも!!」
「やめろ俺を巻き込むな!」
「いってらっしゃ~い」
「いや助けて下さいよ!!」
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