「今日はクリームパンです。…あの、佐々山さん――」
「…多分、もう察されているような気がするのでぶっちゃけたいんですけど、その、…狡噛監視官が好きなものって何ですか? お昼ご飯、その……」
「あーね。ちゃん、オレ、煙草の購入申請通ってないんだよなぁ」
「煙草ですか」
凄まじい小声のやりとりに応じてもらいながら、手元のデバイス画面を佐々山さんにも見えるようにして――、あ、あったあった。許可、と。
「サンキュー。で、狡噛な。意外と子供っぽいぞアイツ、ハンバーガーが好きだと小耳に挟んだことがある」
「ありがとうございます。…でも、いざ持ってきたら多分ちょっとバレますよね…どうしよう……」
「いやバレていいんじゃないの?」
「良くないです。良くない、んですけど、…狡噛監視官の姿が見たくて今日も来ちゃったんです、…ダメすぎる……」
「いっそのこと引いてみたら。明日一日、来ないとか」
「…ううん……」
「大丈夫だ。一日餌を欠かしたからって狡噛は人間だから死なねえ」
彼女が佐々山の首元から袋を覗き込みつつ、何やら佐々山に耳打ちし、こそこそ話をしている彼ら、…佐々山の嫌らしい目線がちらちら俺を見るので不快感が凄まじい。
「…私はしにます!」
「死ねば?」
「ひどい!」
俺に聞こえないように何を話していたんだか。録音でもしときゃ良かったな、音量上げりゃ一発だ。ムカつく。
もしギノのことなら俺の方が詳しい自信があるし、…佐々山も、んなこと言ってたな、に詳しいって。
一体何を佐々山に聞くことがあるのか。佐々山が指導できるのは刑事の勘とセクハラ手法くらいだろ。
…何なんだよ。お前は一体何で死ぬんだ。俺には見当も付かない。
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