2.21
「あ、狡噛さん「」佐々山?」
「狡噛さ「~」えっ何八握、」
「こうが「さん」どうしたの昏田、」
「こう「さん!」天利、」
「こ「さん」花表、」
どうせ直ぐに話せるだろうと、その時に菓子の礼の一つでも言おうと思っていたんだが…、一週間経った。あれから彼女がフロアを一人で歩いているところを見たことがないし、周りにいる執行官が俺に声をかけようとする彼女を瞬く間に連れ去っていく、という事象が連続して続いている。…やはり未だに、執行官が何を考えているのか理解に苦しむことがある。奴らに尋ねてみても誰も口を割らない。よもや二月も終わりそうだというのにまだ話せていないどころか、最近ではしばらく彼女を見てもいない。何やら追っている事件もあるようだが、今まではそれでも毎日のように顔を合わせていたんだ、…彼女が俺に声をかけていたんだろうとも言う。突然ぱったりと途絶えた交流に戸惑いはある。振り回されてばかりだ。しかし執行官たちがあまりに面白がっている風なので、さすがの俺にもそのぐらい分かった。要は我慢比べをさせたいのかもしれない。…何の我慢比べだっていうんだ。どうもこいつらの娯楽の一つになっているような気はする。
「狡噛さん、まだギブアップしないんですかー?」
「私、こないださんが知らない人に言い寄られてたの見ました」
「つーか、まださんが狡噛さんのことが好きだとも限りませんしね」
「何が言いたい。それに、交流を邪魔してるのはお前らだろうが」
「まあまあ。頑張りなさい、狡噛君」
俺のほうを見向きもせずに報告書を作成している和久さんも、見る限り助けてはくれないようだ。そりゃそうか、監視官が執行官に主導権を握られるようではいけない。……毎回執行官を振り払わずに大人しく連行されている彼女はどうだろうか。
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