不安になる
最近のは忙しそうにしていて、三係も追っている事件があったし、飛ぶように数週間ほどが過ぎていき、三係の事件が解決して落ち着いた翌日、休憩室で待ってる、とから休憩前にプライベートのアドレスに連絡が来た。久しぶりに彼女と少しだがゆっくり会えると扉を開ければ、眠そうにした彼女が玉露と書いてあるペットボトルに口を付けていた。…カフェインのキツさで選んだのかもしれない。少しパンチがあった。そんな彼女は二係で宿直だった、と語った。隣に座れば、最近狡噛くんと話せてないから寂しかった、と彼女が横っ腹に抱き着いてきた。愛おしくて仕方なくて頭を撫でていれば、狡噛くんの休憩が終わったら帰って寝ると言った彼女はそのまま舟をこぎ始めしばらく、ずるりと頭を落として俺の膝の上で寝息を立てている。
「狡噛さん、よかったですね」
「…居たのか、悪い」
ひょっこり向かいのソファから起き上がってこちらを振り返った昏田の目線から遮るように彼女の顔を隠した。
「昏田じゃん、って、お、狡噛さんじゃないですか」
俺もう行きますから、と退出した昏田と入れ替わりに入ってきたのは内藤で、にやにやしている奴の顔に既に嫌な予感しかしない。…正直、今このシチュエーションでこいつと会話をしたくない。
「……なんだ」
「さんってやっぱり着痩せですか?」
「どういう意味だ」
「あれ、まだ見てないんですか。結構いい体してそうだなって俺ずっと前から思ってたんですけど。感想聞こうと思ったのに」
「お前……、もう俺のだ、金輪際そういう目で見るなよ」
彼女をどっかに仕舞い込みたくなってきた、やはり内藤が一番油断できん、幼い顔して時たまエゲつないことをするからな、こいつ。それに発言に気を付けなければ揚げ足を取ってくる奴だ。渇いた喉を潤そうと彼女の飲みかけの玉露に手を伸ばす。
「でもまだヤってないんでしょ?」
「っぶ、」
吹き出しそうになったのをなんとかこらえる、こいつ!わざとだな!
「いい加減にしろ内藤、セクハラで始末書書かせるぞ」
「奥手だな~監視官たちは。俺なら付き合って三秒で襲いますね」
仕方ないだろ、押し倒しても、“なあに?狡噛くん”って全霊の信頼を寄せる彼女に乱暴できるか!?佐々山とか内藤とかはきっと気にせず襲うんだろうな、だが俺にはそんなことは出来ない。無理だ。彼女は確かに悪戯っ子のようなところがあってさんざ振り回されてきたし、未だに無意識に他の男の頭を撫でるし、ああクソ、
「っていうか本当に付き合ってるんですか?」
「……好き合ってる」
「つ、ですか、す、ですか?あ、僕そろそろお暇しますね~」
痛い一言が刺さった。滑舌悪く言ってみたが後の祭りだ、内藤がにやつきながら席を立った。最悪だ。好き合ってはいる、好き合っている。いや、付き合ってもいるんだろう、…確認したことは無いが。さすがのも付き合っていない男とでかけたり……でかけ…散々でかけたりするんだよな…。だがさすがに家には上げないだろう、……多分。
彼女の顔を覆っていた手をはずして眺めたら、気の抜けた顔ですやすや眠っている彼女を起こして尋問して脅してなんだのと目茶苦茶にしてやりたいような気分になった。…勿論しない。できない。彼女は、俺が彼女のことを名前で呼んでも気にせずに受け入れたくせに、未だに俺のことを名字で呼ぶし、やっぱり俺は彼女の中で未だにただの後輩だったりするんだろうか。何故あの時付き合って下さいまで言って承諾させなかったんだろう。付き合ってないと思ってたとか言われたら俺は結構へこむし、しかし付き合っていたとしたら名字で呼ばれている事実にへこむ。まずい。どっちに転んでもだめだ。早々にはっきりさせた方がいい、時間がたてばたつほど受けるダメージが大きくなるだけだ。丁度そのうちに約束していた休みの日が来るし、いい機会だ、家に呼んで聞いてみよう。……家に呼んで聞いてみようっていうのも、相当変な響きではあるが。
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