ぴんぽーん。スンと扉が開いた。私はにこやかに秀星にプレゼントを差し出す。
「秀星!!てばさき!!」
「…業務用?パックで見ると中々えげつねー……」
「もみじ?もある」
「お前それ何か分かってるか?」
「さすがに分かる。とりのあし」
言われながら答えながら入室すると、お呼びじゃない人がゲームコントローラーを握っていた。すごいすごい、棒読みで狡噛さんが褒めてくれた。凄くむかつく。とにかく私は秀星にリクエストする。
「揚げた甘辛がいい、ナゴヤっていうの!」
「はいよ。もみじはまた今度な」
*
からっと揚がっている、カリカリ熱いそれを皆で手で食べる。甘辛のじゅわあ。さくっなのにじゅわあ。じゅわじゅわじゅわあ。
「ん~~!」
散りばめられたゴマ。はふはふとてもおいしい。そう、私が求めていたものはこれである。やはり秀星は素晴らしい料理人である。クッキングアイドル。今日はちょっとワイルドに決めている。
べたべたする指に構わずとろける頬を抑えながら悶え素晴らしきこの味覚を楽しんでいれば、バキ、と音がした。ゴリ、べきぼきむしゃ、ばりむしゃ。
「…狡噛さん、人の指たべれそう」
「食べない。この骨くらいは太い方も噛み砕けば食べられるが、カルシウムって味がして、正直言ってそこまでうまくない。舌や喉にざらざらとした粒子も残るしな。食に困ったら食うだろうし…、贅沢だが、やはり肉の部分が一番うまい」
「、いいか。ここ、骨の中に血が固まってんだろ、これがダシになんだよ。吸うとうまい」
秀星が、狡噛さんが吐き出したばきべきになっている手羽先だったものを指差して説明してくれた。「骨髄液な」狡噛さんが付け足す。
私がもちえる感想は一言だった。
「…野蛮……」
「嬉しそうに業務用鳥の足抱えてきたお前に言われたくないと思うぞ」
「…だってバキベキゴキバリムシャって言ったもん。狡噛さん顎の力強すぎます。握力だけじゃなくて顎力も男爵、なるほどね」
「咬合力」
「こうがみりょく?」
「咬み合わせる力、こうごうりょく」
「こうがみりょく!」
ふっと笑った狡噛さんに頭を撫でられた。遺憾の意。そんな中で響き渡る、バキ。……秀星?
「…秀星もあごパワーがやばい」
「お前が軟弱なだけだ。スルメでも食ってろ」
「私だって出来るもん」
「お子ちゃまが無理すんな、口に刺さ――……」バ…キョぐさ
「ftgyふじこlp;!!!」
いたい。いたいたいたいたたたい。ぐさってきた。骨が刺さった。じんじんする。痛みを感じる。
「さすがアホ」
秀星が呆れ返った声で言った。ひどい。狡噛さんなんか、丸まっている私を無理矢理に仰け反らて顎を引っ掴んできた。抵抗できずに口を開ける他ない。だって痛い。大変いたい。泣いちゃう。涙出てきてる。鉄の味がする。おいしい。ていうか普通に口の中みないでほしい。さすがにちょっと。狡噛さんは何でこういうところこうなんだろう。キャーキャー言ってる女性たちは多分知らない。パパがみしんや。変態がみ? 私には分からない。
「肉が血まみれになってる」
どっちの肉?ぐすぐす悲しくなっていれば、パパがみさんは超普通に私の口に指を突っ込んでバキベキにしていたされた手羽先を連れ去っていった。噛めばよかった。信じられない。色んな意味で言葉が出ない。口がいたち。口直しがしたい。狡噛さんの指はおいしくなかった。狡噛さんの指についてた手羽先のタレは美味しかった気もするけど血の味で何も分からない。かなしい。頭をぽんぽんされている。
「すすいで来い」
「下処理しなかったら、もみじなんか刺さると悶絶もんだし。予行練習になってよかったな」
「~~なんもよくない!!!だって秀星はちゃんと調理してくれるもん!」
「………!」
「だからもみじも今食べたい。神様仏様秀星様クッキングアイドル」
「そこまで言うなら作ってやる。ひれ伏して待っているがいい」
「やったー!!!」
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