「狡噛、土産だ。期待はしていないが、食べ比べてみろ」

 紅いもタルト、と書かれたそれを、まず右手から受け取った。開ける。口に含む。甘い。普通にうまい。
 紅いもタルト、と書かれたそれを、次に左手から受け取った。開ける。口に含む。甘い。普通にうまい。

「…何か違いがあるのか」
「パッケージが違うだろう。お前、目まで悪くなったのか?それで、どちらがうまかったか答えろ」

 この手の質問は苦手だ。これはあれだ、Aを答えてもBを答えても、はたまたどちらもと言ったところで、分かっていない、と言われるやつ。いや、正解があるのかもしれない。分かるかよ。どっちも紅いもタルトなんだろ、何が違うんだ。ギノの後ろに居るが、紅いもタルトにパクついて、幸せそうに咀嚼している。あれはどっちだ。袋が無い。分からない。

「そうだな、どっちもうまいんじゃないか」
「ふざけるな狡噛。いや、少しでも期待した俺が愚かだった。やはりお前はそういうやつだ。もういい」
「待てギノ!分からないんだ、教えてくれ!俺の何が悪かった!」
「うるさいッ!!お前に分かってたまるか!お前には分からないんだ!薩摩芋という名称への屈辱も、紅いもタルト発祥の地が有耶無耶にされていることもな!」
「分かった、分かったギノ。俺が悪かった!」
「分かっていないことを分かったというな!狡噛、お前は昔からそうだ――」

 狡噛さんと宜野座さんが激しい熱愛を繰り広げている。ちがう。言い合い。言い愛?

「…なあ、あれ何してんの?」
「昼ドラじゃないの」
「ニンポー社とお菓子御城の戦いなんだって。私は御城の方がすき!」
「そんなの原材料見りゃ当たり前だろ」
「秀星すき」
「あー」
「私も」

 二人の口においしい方を差し出した。好みじゃないほうは全部狡噛さん味覚残念みたいのデスクの上に山盛りに積み上げて、みんなで御城を作った。宜野座さんに崩された。

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