。土産をやる」

 てれん。は、キスチョコを、手に入れた!



「秀星!みて!宜野座さんがくれた!」
「は?スライムじゃん」
「メタル!食べたら経験値がいっぱい!すごい、レベルアップしちゃう」
「俺はカンストしてるからもう上がんねー」
「たしかに料理の腕はカンストしている」

 キスチョコの銀紙包み紙をくるくるあけてみる。そしてさらに白い謎のテープみたいな全然包めていない包装紙と思わしきものに包まれているキスチョコ。これは。これは!

「ブラウンスライム!」
「いない」

 食べてみる。甘い。じゃりじゃりしている。ミルクのマイルド的な味もしている。紙にはTHANKSとかかれていた。さんくす。さんくす!

「あー」

 秀星の口にも放り込んでみる。さんくすじゃない。暗号アルファベットが別の文字になっている。キスそめおね? 秀星に差し出してお願いしてみる。

「読んで」
「レベル1だから無理」
「かなしい」

 そうだ、聞きに行こう。大魔王を倒す旅に出よう。所持金は0ゴールド、所持品はキスチョコである。



「狡噛さん、宜野座さん」
「休憩中だ」

 秀星は付いて来てくれなかった。パーティー入りを拒否された。悲しい。初っ端からクライマックスで大魔王に会ってしまったのも悲しい。ハイスペック大魔王。きらい。

「…英語よめます?」
「なんだ?」

 ぱりぱり銀紙をむいて狡噛さんの口にキスチョコをこんにちはして押し込む。キスチョコが狡噛さんにキスしている。狡噛さんがキスチョコにキスされている。キスチョコの由来がわからない。

「…キスされてるチョコ?」
「甘い。血圧が上がりそうだ」
「宜野座さんにもらいました。この英語読んで」

 狡噛さんがキョトンとした顔で白い包装紙を見てから、私の目を真っ直ぐ見た。狡噛さんがたまにする幼い顔はとても28歳とは思えない。童顔すぎる。

「I like you」
「違いますそうじゃないです」

 怒りを感じる。そんなものは見ればわかる。わからないけどわかる。というかさすがにそれくらいは知っている。私が解読して欲しい英語はそれじゃない。狡噛さんにあげたキスチョコはあいらいきゅーだったらしい。スライムのようにバリエーション豊富。いい声でキョトンとあいらいきゅーと言われてしまったことに大変怒りを感じる。とても怒りを感じる。

「ん」
「……」

 口を開けた狡噛さんの口にキスチョコをもう一つこんにちはした。白テ-プルーレットに勝った。さっきと同じキスそめおねが出た。そう、このそめおねが分からない。そめワン?ワンワンワン?そめ犬。

「これです」

 その白い紙を広げて見せつけた。その英文を追った彼の目が微妙な半目になったのを私は見逃さなかった。とりあえず何か私が得をする英語じゃないことだけは分かった。そめ犬。さよなら犬。



 して、私の電波塔が嫌な予感をキャッチしたので後ろ足を引いたのに!その瞬間には、残念ながら既に腕を引っ張られて捕獲されていた。どうして!残念すぎる涙でてきた!何されるんだろうはなしてほしいこわい。狡噛さんは筋肉レベルがカンストしている。筋肉おじさんの顔が迫って来て、彼の目が閉じたと思ったら、唇が触れ合っていた。キスチョコは関係ない。キスチョコが関係ない。どうして。どうし、……っなんで!?

「ん、や、っちょ、」

 ちゅっちゅ軽く唇を柔らかく押し付けられている意味分からない。押し返しても無理である。私の筋肉レベルは狡噛さんと比べたらマイナスを突っ切る。表示がされない。筋肉おじさんの癖に唇が柔らかいところにリアルみを感じる。怒りを感じる。恥ずかしい待って何が起きているのか分からない。

「っぷは、っひ、セクハラ、」

 やっと顔を離してくれた狡噛さんがひたすらにニヤニヤしている。意味わからない。常守さんに報告しよう。

「何言ってんだ、お前が知りたがったんだろ。Kiss someone、誰かにキスしろ。って意味だ」
「意味わかんない!変態!」
「ギノもギノだ。こんなチョコほいほい渡すべきじゃない」
「知らな――ん!」

 またちゅっちゅされている。意味わからない。しかも絶対宜野座さんにそんな気はない。きっとスライムチョコだと思ってくれたに違いない。宜野座さんは割と私のことを分かっている。優しい。狡噛さんは分かってない、当たり前のことも分かってない、私の口はチョコじゃない。別に嫌ではないのが悲しい。普通に顔がいいからやめてほしい。目を閉じるほかない。かなしい。狡噛さんの舌と思わしきものがぬるりと口に入ってきて舌が触れ合った。甘いことだけが分かった。背筋がぞくぞくした。びっくりした。頭が真っ白になって、気付いたら口を閉じていた。なんか激しい痛そうな声を上げた狡噛さんが口を離して悶えている現在である。意味わからない。私は英語の意味が聞きたかっただけなのに。誰かにキスしろ。
 よし分かった。キスチョコはキスのレベルがアップする。なるほど。筋肉おじさんにファーストキスのみならず軽くセカンドキスまで激しい感じのまで奪われたので私は見事レベル2になった。お求めじゃない。心臓がばくばく言っている。かなしい。

「~~っこうがみさんのばか!」

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