「狡噛さん、煙草臭い、あっち行って」
「風上に行け」
「宜野座さん、デスクの配置変えて」
「空調を変えろバカどもが」
「監視官デバイスでしか無理なんです、恐・れ・入・り・ま・す」

 狡噛さんが、宜野座さんに舌を出している彼女の顔横に、煙を吐き出した。…ええ。

「っごほ、ごほ、っうえ、う、」
「監視官は労われ」

 顔洗ってきます、とさんが涙目をこすりながら一係を出て行ってしまった。

「狡噛さん、今のはどうかと思います」
「執行官同士の戯れだ、監視官は気にしないでいい」
「度が過ぎていると思ったので、注意してます」
「っつったって、監視官、あいつの暴言は注意しないが」
「…だって。さんって、ずっとあんな感じなんですか?」
「あんな感じ、っつーのは?」
「…その、凄く狡噛さんのことが苦手なように見えるので」
「まあ、はっきり嫌いだと本人に言われてるが」
「どうしてか聞いてもいいですか?」
に聞いてくれ。俺は知らん」

 狡噛さんがそっぽを向いてしまった。宜野座さんは関わりたくないオーラを出しながらひたすらにタイピングしている。けれど私は知っている。おそらく彼は何の意味も持たず、例えAIにだって解読できない暗号を適当に打ち並べているだけだということを。昨日出されていた報告書はさっき読み終わったばかりだ。だから私は発言をする。

「宜野座さん、お聞きしてもいいですか?さんってどうして狡噛さんのことが苦手なんですか?」
「知らん」

 ひたすら黙っていらした征陸さんも、分からない、とジェスチャーをされた。よし、出て行ったさんと、休憩を取っている縢くんを探しに行こう。諦めた。



「縢くん!やっと見つけた!さんってなんで狡噛さんのこと苦手なの!?」
「朱ちゃん何でそんな怒ってんの」
「狡噛さんと宜野座さんと征陸さんに振られたんだよ!」
「答えたらなんかくれる?」
「私にご飯を作ってくれるで賞、とかどう?」
「原材料の申請、全部通してくれるって意味?」
「食品とか、私が頷けるものなら、それでいいよ。縢くんのご飯、普通に食べたいし」
「っしゃ。じゃ、今度三人で話そーよ」

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