先輩が犯せない
「あーけーて!」
あけてよう、あーけーてー。あーそびーましょー、ごーじょーくーん。
先輩が大声を上げながら部屋の扉をドンドン容赦なく叩く。今、深夜だし、ゼッテェ隣の部屋の傑にも聞こえてるし、そんなに叩いたら彼女の手の方が傷つく。仕方がないから勢いよく開ける。
「何!」
「ごじょ~くん」
先輩が全体重を俺に預けてしなだれて来た。屈んで先輩を支え、柔らけえマジどうしよとパニックになってる脳内にさんは俺の肩口にぐりぐり顔を押し付けてぐいぐい体を押し付けて追撃をかましてくる。俺はそろそろ寝るかと思って普通に部屋着だったので――何が言いたいかというと柔らかさがいつもよりダイレクトに伝わって来てヤバイ。え、ブチ犯していいやつ?????そんなワケなくない???この人普段クソほど塩対応じゃん硝子と歌姫と一緒に死んだ魚の目で俺のこと見てくるけど???まあ普段は俺がウザ絡みしてる方だけど???先輩も鬱陶しがってるじゃん???なのにマジでどしたの??何があったの??酒臭いから大体察せてはいるけどね???俺を五条悟と知っての狼藉でしょ???え、ブチ犯していいヤツ。助けて傑。
「おかしくない?とりあえず離れて?」
「なんで」
ちゅ、と軽いリップ音が一つ。ハァ!?
「さすが五条くん、くちびるも甘いね」
えへへってはにかむな。やめろ。やめろ! ア゛~~!!!
酒臭さにほわんほわんなりながら、俺は先輩を支える手もおざなりに天を仰ぎ固く目を瞑って思わず唸って何秒か経った。つまりここへ至るまで数分俺は耐えたわけだ。もうムリ。まぢむり。意味不明。据え膳じゃん? ――俺は先輩のことが好きで絡んでんだよ。何回頭の中でブチ犯したと思ってんの? 己が息子はぶっちゃけもう反応してる。先輩が俺に体を預けて来ておっぱいをダイレクトに思い切り押し当てた即ち最初からまあ普通に無理だったよね。男子高校生の性欲ナメんな。
マジでどうしてやろう襲え襲う襲うしかない。明日なんて言われっかな。知ったこっちゃねえ。深夜酔っぱらって男の部屋を訪ねて来た先輩が100悪い。以上。
唾を飲み込み息をはき緊張を逃がしていると、ぱさりと何かが落ちた音に目線を下げた。ら、まず先輩の生足と先輩が履いてるパンツが見えた。レースじゃん。床にスカートが輪になって落ちている。……。
瞬時に茹蛸のごとく顔が赤くなっていく自覚のある俺になんか目もくれず、というか気にしていないのか先輩はシャツのボタンを開けている。レースじゃん。真ん中についてるきらきらが俺の視界を独占すると言わんばかりにちらちら揺れている。目が反らせない。谷間ヤベエ鼻血出そう。今更ドーテーでも無い癖に俺はどうしちゃったわけ。ぱさりと先輩のシャツが床に落ち、エッチな下着だけの先輩が俺に手を伸ばして寄って来る。
「……っていやいやいや。マジで何!?」
「ねんねしよ?ね」
ねが多い。俺は赤ちゃんじゃない。
先輩の両手が顔に伸びて来て、ん!ってプンスコされて仕方なく背中を丸めたら、俺の頬をやらしく包んで撫でてきた。もう顔赤い自覚しかないんですケド。ん-、って目を閉じて唇を突き出した先輩が背伸びをして、届かなーい。って文句言って俺のTシャツを捲り上げて胸元を吸った。ねえ!!!意外とテクニシャンかよ!うまくつけられたーじゃなくて!
「もっかいちゅーして」
先輩とのチッスはイチゴ味とかレモン味とかもっとフルーティーで甘いやつが良かったし、そうなるものだと思ってた。まあ出来るならなんでもいいけど、…百歩譲って酒の味でも!
俺を見上げている先輩に顔を寄せて唇をくっつけ合う。酒臭いキス。少しは男の余裕見せてやる、濃厚なやつしてやろ。って先輩の唇に舌を割り入れて歯列を舌先でなぞり上げる。直ぐに先輩は口を開けて、ぬるぬると互いに口内を貪り合う快感が、欲望が腹の奥底に溜まっていく。くぐもった先輩の声が俺の鼓膜を震わせて余裕が消えてく。応えてくる熱い舌と重なる自分の舌もじんじんしてきて口を離した。
「…これ以上ここにいんなら、続きするけど」
顔を真っ赤にしている先輩は、はあはあ息を整えながら俺を突き飛ばして、何故か俺のベッドに身を投げ出して布団をかぶって隣を開けた。なんて?
なんて?
きゅるんって顔で見られてもかわい、かわ、かわいいよ。もういい。分かったから。かわいい。かわいいからやめて。犯す。
先輩が意味不明に入ってる布団を剥いで覆いかぶさった。
「さむい」
しょぼんした先輩が俺の上から布団をかけた。いや、待って。俺犯すって言ったじゃん。何そのスヤァする感じ。待って。まさかこれで終わる感じ?半殺し?生殺し?こちとら致命傷喰らってるようなもんなんだけど。いやおかしいでしょ。
「イヤ、先輩。何しに来たの」
「ねんね」
ぐぐ、と俺の首に手を回した先輩が力いっぱい引き寄せるからお望み通り全体重をかけてやったら死んだ蛙みたいな声を出されたため泣く泣く横へ退いてやる。直ぐにぎゅうと抱き着かれすりすり頬を寄せられて、俺は俺をもう一回りデカくした自覚があった。思いっきり先輩の体に当ててんのに何で気付かねーの?気付いてんの?気にしてないの?何なのこの人? もう寝そうじゃん。
「。先輩。寝んな。返事して。俺をこんなにした責任取って」
「ん゛ん-……」
1、起こして犯す。2、起こさないで犯す。3、今日を弱みにして今後正々堂々犯す。2も捨てがたいけど3だな。ここは3だ。間違いなく3。…先輩あったけー。肌、スベスベだし。手触りも抱き心地も良すぎ。今夜、桃鉄とどっちがキチーかな……。
俺は無限で携帯を引き寄せヤケクソ気味に先輩の寝顔を連写して、先輩に送りまくる嫌がらせを始めた。
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